きのこの子育て日記:さようなら、ワルシャワ

 

とうとうポーランドにもお別れを言う日が来てしまいました。慣れるとそれなりに住み心地がよく、去りがたい気持ちで一杯です。でも、3年もいたわりに、聖十字教会にもキュリー夫人の博物館とやらにも行ったことがない。(旧市街にも年に1度くらいしか足を踏み入れない)ポーランドもワルシャワ以外はクラクフしか行ったことがない有様。
ポーランド大好き人間の方に言うとどつかれそうな、このフットワークのなさ。ショパン好きな人にとってはきっと聖地だろうに…。

ここに来る前はクラシックなんて聞いたことがありませんでしたが(ラテン一筋10数年)、以外や以外悪くないと思うようになりました。特に毎日子育ての喧噪にまみれている中で聞くと、心が洗われるよう。以前は「癒し」とか「安らぎ」とか聞くと、「けっ」と思っていましたが、完全な食わず嫌いでした。ショパンよ、あなたは偉かった。

ここで特にお世話になったポーランド人(全員仮名)にお礼を述べたいと思います。

日本語ぺらぺらで、ここの生活に慣れるまで(慣れた後も)何かと力になってくれた、ポーランド語の先生のモニカさん。

厳しい冬、子供たちが次々と病気になる中、親身になって診てくれたマグダ先生。待ち時間1時間、診療3分の日本とは大違い。真夜中に電話しても、いやな顔ひとつせず相談にのってくれました。

上の子の誤飲事故の後、落ち込んでいたら「そんなに自分を責めないで。誰にだって起こりうることなんだから。子供はみんなクッキーモンスター(セサミストリートのキャラクターで、何でも食べちゃう)だし」と暖かい言葉をかけてくれた、クリスティーナ先生。(日本の医者は何にもしてくれない上に、「親が気をつけなきゃね」だって。そんなことわかってるっちゅうの。爪の垢でも煎じて飲んでおくれ)

ここでの私の育児を全面サポートしてくれたベビーシッターのハーニャさん。彼女なしでは、親が来られなかったので、ここでの出産は無理に等しかったでしょう。無論、2人の子持ちでHPを優雅に(?)作るということも彼女の助けあってのこと。

子供の送り迎えをお願いしている個人タクシーのヤレックさん。すごく話好きで、私でもわかるようにほとんど格変化なしでしゃべってくれていた。60を越しているだろうになかなかの色男ぶりで、モテ話など(既婚だよ、おいおい)を聞かせてくれる。ポーランド語のリスニングが飛躍的にのびたのは、彼のおかげ。

娘の幼稚園のバルバラ先生。おそらくは20才後半なのに、園長として幼稚園を一手にとりしきっている。娘が喜んで通園していたのは、お友達のみならず、彼女あってのこと。特に最初は日本人ただ1人だったので、本当に心配しました。

主人の出張中、子供共々風邪で倒れてしまったとき、紙袋一杯の薬と差し入れをもってきてくれたカタジーナさん。彼女の家からうちまで車で小1時間もかかるというのに。文字通り涙が出てしまいました。「言うは易し、行うは難し」という言葉を超越している彼女の行動力と心の温かさにいつも感動を覚えました。

こう書いていると、ポーランドで私が関わった女性は、強くて優しい女性が多いように見えますね。男性は…というと、そのパワーに押され気味なよう。でも、さりげにそんな女性をサポートする素晴らしい男性とも知り合えました。まさしく「紳士」という言葉がぴったりな。

日本人の男性ももちろん素敵な人はたくさんいますが、「紳士」という言葉がしっくりくる人はそうはいないですよね。(「淑女」もおらんぞと言われれば、その通り)ポーランドではただの挨拶ですが、手の甲にキスをされてくらくら~となったのも1,2度ではない。

うちの息子もせっかくポーランドで生を受けたので、万分の一でもそうならないかな。願いをこめて(?)、地蔵顔の息子のミドルネームはミーハウとしました。(→冗談です。何も知らない人に言うと信じてしまうので罪は重いか。)

娘もポーランド女性のごとく強く優しい子に育って欲しいと祈りつつ、うだうだと書きつづったこの日記を終わりたいと思います。ありがとうございました。