切り絵模様のはかり(ポーランド、かわいいもの図鑑)

ワルシャワの街を歩いていると、思いがけないところに電気屋さんを見つけることがあります。日本では個人経営の電気店は量販店に押されて絶滅寸前ですが、この町は違います。
たとえば、切れた電球を買いに来たついでに足の痛みを店主にひとしきりこぼし、ならばと店主が取り出す冷えに効く足浴機の説明を熱心に受けた後、結局は電球ひとつ抱えて帰るおばあちゃん。その後ろで延々と待たされるのを気にしないどころか、「そうなの、私もこのあいだね」と嬉々として会話に加わるおばちゃん。ワルシャワの電気屋さんは町のよろず相談所でもあります。

そんな電気屋の主役はポーランドが誇るBottiの家電です。水玉模様の電気ケトルからネオンカラーの掃除機まで、ポーランド主婦のかわいいもの魂をくすぐるデザインとお手頃価格でおなじみのドメスティックブランド。ヨーロッパ諸国での知名度は低いものの、ポーランドではBottiは一家に一台と言われるほど、安定した人気を誇ります。

ウォビチの切り絵模様がついたこの台所用はかり(Waga kuchenna) もBotti製。

切り絵模様といえば、紙ナプキンや文具、カップなどのお土産小物が定番ですが、このはかりは実用品だけあって、一味違う上品な仕上がりになっています。
表面は、ボタンなどの凹凸が一切ないツルンとした強化ガラス製。見た目は小さな飾り皿のようで、つい、台所に出しっぱなしにしたくなるデザインです。
1グラム単位で5キロまで測れます。材料を入れるたびに数値をゼロに戻せる風袋引き機能つきで、卵、砂糖、ドライフルーツと、一つのボウルでどんどん混ぜていくワンボウルケーキをつくるときにとても重宝します。
表面がつるつるなので、卵や油が飛んでもさっとふき取れるし、そもそも柄のおかげで汚れが目立たない。我が家では今のところ、「ポーランドで買ってよかった台所製品」の第1位です(2位は竹のまな板)。
お値段は60zł。ボタン電池は日本のものと同じです。
ぜひ、町の電気屋さんで探してみてください。