文化科学宮殿60周年

1955年7月22日、ワルシャワの文化科学宮殿(Pałac Kultury i Nauki)が公式にオープンしました。

“スターリンからの贈り物”と呼ばれるこの巨大な建物は1952年5月1日、メーデーの日に建設が始まりました。工事はまずズウォタ通り、ヴィエルカ通り、ジェルナ通り、フミエルナ通りそしてシエンナ通りにあった戦前の建物を壊すところから始まりました。モスクワ大学を設計したことで有名なソヴィエトの建築家、レフ・ルードネフ(Lew Rudniew)が設計を担当しました。

文化科学宮殿を設計するに当たり、ルードネフと彼の設計チームはクラクフ・ザモシチ・サンドミエジュ・トルン・グダンスクなどのポーランドの町を見てまわり、それぞれの町の建築様式を文化科学宮殿の設計に取り入れたのだそうです。このためにロシアからはるばるやって来た作業員の数は3500人。彼らのために食堂や映画館、プールなどを併設した団地が特別に作られました。工事中に事故で亡くなった作業員は16人で、遺体はヴォラ区にあるロシア正教墓地に埋葬されました。1956年から展望テラスで飛び降り自殺事件が相次いだため、70年代になってから展望台には柵がはられるようになったのだそうです。

さてこの文化科学宮殿、一見石造りに見えますが、実は50年代では最先端の技術だった鉄骨構造であることはご存知でしたか?そして、石の板を張り合わせたように見える文化宮殿の外側の壁は、実はセラミックのタイルで出来ているのだそうです。社会主義時代を象徴する文化科学宮殿はワルシャワ市民には評判が悪いことで有名でしたが、若い世代のワルシャワっ子には単にワルシャワのシンボルとして親しまれています。

60周年を記念して、7月22日から25日まで文化科学宮殿ではコンサートやライトアップなど、様々なイベントが企画されています。23日の22時からはマルシャウコフスカ通り側の窓がなんと、巨大なテトリス(!)になるのだそうです。