普段はブラックメタルを聴いているわたしですが、ポーランドにはもちろんブラックメタル以外にも面白い音楽があります。そんなわけで突然ですが、今回はポーランドのディスコ・ポロ界で活躍するSławomir (スワヴォミル)を紹介します。 ディスコ・ポロとは、ダンスミュージックのひとつなのですが、イマドキの音楽とはちょっと違って、ダサめで田舎っぽい音楽です。しかし、ポーランドのラジオやテレビには、ディスコ・ポロだけをひたすら流す番組もあるんですよ。 そんなディスコポロ界に、2015年に現れたのがスワヴォミルでした。もじゃもじゃの胸毛と口ひげが印象的で、ぱっと見た感じではだいぶおじさんにも見えるのですが、実は1983年生まれです。彼の歌手としてのキャリアはまだ短いものの、その人気はすさまじく、2017年にはポーランドのヒットチャートで1位の座を獲得。さらに、前年に出したアルバムは3万枚も売れ、プラチナ・ディスクに認定されています。2017年には「Miłość w Zakopanem(ザコパネでの恋)」をシングルでリリースし、この曲も大ヒット。大晦日に放送される歌番組に出演し、実際にザコパネでこの曲を披露しました。ちなみに彼は自分の音楽ジャンルはディスコ・ポロではなくロック・ポロ(Rock Polo)だと言っています。 彼は歌手としての活動が目立ちますが、もともと俳優として活動しており、2009年から様々な作品に出演しています。国立の演劇大学を卒業しており、音楽ではなく、演劇を専門的に学んだ人なのです。またTV番組の司会を務めたり、活動は多岐にわたります。 彼のビデオクリップやコンサートには彼の妻がよく出てきます。彼はアメリカ滞在中に、現在の妻のKajra(カイラ)と出会いました。カイラは当時アメリカのバーでウエイトレスとして働いており、そこで彼女と出会った……と言われれいるのですが、実際二人はクラクフの同じ演劇大学に通っており、在学中に知り合ったのではないかという説もあります。二人は2011年に結婚し、2016年に息子が生まれています。 スワヴォミルの曲は決して今風のカッコいい曲ではないのですが、テンション高く歌うスワヴォミルの姿を見ていると、嫌でも笑顔になりますよ!彼の隣で踊って歌う奥さんも楽しそうです。 関連記事 / Related posts: ポーランドのメタルにハマってしまった女(メタル漬け生活@ポーランド) ポーランド一有名なブラックメタルバンドBehemoth(メタル漬け生活@ポーランド) ワルシャワのオペラ(しょこたんのまるっとワルシャワ日記) Nie Nie Nie / ニェ・ニェ・ニェ(グダ男のポーランド・ヒット曲) 凪-なぎ(グダ男のポーランド・ヒット曲)
今日は、ポーランドの古い映画を紹介します。タイトルは『月をぬすんだ双子(原題:O dwóch takich, co ukradli księżyc)』、主演は後に政治家となるカチンスキ(Kaczyński)兄弟です。1962年に制作された映画で、コルネル・マクシンスキ(Kornel Makuszyński)という児童文学作家の童話を基に作られました。ポーランドでは知らない子どもはいないといわれているくらい有名な映画です。 舞台はザピチェクという架空の村。そこにヤツェクとプラツェク(プラツェクはポーランド語でパイの意味)という名前の双子がいました。食いしん坊で怠け者の2人は、両親の手伝いもせず、学校でも授業の邪魔をしてばかり。そんな2人はある日、金でできた月を売れば一生働かなくて済むと考え、月を盗みに行きます。道中で色々な人たちと出会い、さらには危険な目にも遭い、最後には本当に大切なものに気付くという冒険ファンタジー映画です。 この映画が制作された1962年はまだCGが無かった時代。特撮を駆使して作られた映像は、今観るとその独特の手作り感が逆に新鮮に見えます。『オズの魔法使(1939)』や『ネバーエンディングストーリー(1984)』のようなCG無しで作られた冒険映画にも似た雰囲気があるかもしれません。ストーリーは単純ではあるものの、舞台セットがなかなか凝っていて遊び心があり、大人が観ても楽しめます。 主役の双子を演じたカチンスキ兄弟は当時13歳でした。映画の中の役柄と同じく、二人は一卵性双生児で見た目もそっくり。そして、後に二人そろって政界で活躍することになります。二人は2001年に現在の与党である「法と正義(Prawo i Sprawiedliwość)」を創設します。兄のヤロスワフ(Jarosław)は2006~2007年に首相を、弟のレフ(Lech)は2005~2010年まで大統領を務めました。残念ながら、弟のレフは2010年にカティンの森事件追悼70周年記念式典のためにロシアに向かう途中、航空事故で帰らぬ人となってしまいました。兄のヤロスワフは、2020年現在も「法と正義」の党首として政界に君臨しています。 関連記事 / Related posts: 関連記事がありません / No related posts.
今日はポーランドのStworzというメタルバンドを紹介します。このバンドは、2007年にポーランド東北部のオルシュティンで結成しました。オルシュティンは14世紀にドイツ騎士団によって作られた街で、この街が属するヴァルミア=マズールィ県では、グルンヴァルトの戦いを再現する巨大イベントが行われたりもします。 このバンドの特徴は、ブラックメタルとフォークを掛け合わせた音楽スタイルです。暴力的でおどろおどろしいイメージのブラックメタルとは少し違い、民族楽器を使用したり、女性のクリーンボーカルを起用したりと、ブラックメタル初心者にも聴きやすい曲を演奏しています。中には鶏の鳴き声がサンプリングされていたり、ポーランドの伝統的な民謡「Z tamtej strony jeziora(湖の向こう岸から)」という曲をメタル風にアレンジしたりもしているんですよ。 また、バンド名はスラヴの悪魔の一族にちなんでつけられたそうです。キリスト教伝播以前のポーランドには、多様な神々を信仰する土着宗教が根付いていました。当時の人々は、スラヴの神々を大切にしており、現在のメタルバンドにも遠い祖先やキリスト教以前の宗教を敬い、音楽に組み込んでいるバンドが多数存在します。そのようなバンドは「ペイガンメタル」と呼ばれており、Stworzもペイガンメタルバンドのひとつです。 こちらは、Stworzが所属しているレーベルが製作した公式ビデオクリップ。ポーランドのドキュメンタリー映画の第一人者ともいわれるWładysław Ślesicki監督の映像作品が使用されています。ボーカルはがなり声ですが、モノクロで映し出されるポーランドの自然や村の景色と、少しノスタルジックなメロディーが妙にマッチしています。 関連記事 / Related posts: ポーランドのメタルにハマってしまった女(メタル漬け生活@ポーランド) ポーランド一有名なブラックメタルバンドBehemoth(メタル漬け生活@ポーランド) 東欧ブラックメタルガイドブック(メタル漬け生活@ポーランド) ポーランドのブラックメタルとコロナ感染(メタル漬け生活@ポーランド) ポーランドのメタルフェスティバル(メタル漬け生活@ポーランド)