ポーランドと日本の養護施設 90年を経ての交流再開

社会福祉法人 福田会広報担当の阿部浩一さんよりご寄稿頂きました!

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第一次世界大戦後の1920年と22年。シベリアで親を亡くし孤児となっていたポーランドの子どもたち765人を受け入れたのが日本でした。その後、子どもたちは一人も欠けることなく無事に祖国へ帰還することになるのですが、第一陣375人を受け入れた施設が東京の福田会育児院、現在の社会福祉法人 福田会(ふくでんかい)。今から140年前に設立されました。

私は今年2月から福田会で仕事をするようになったのですが、最初に手がけたのがポーランドと当法人の歴史的関係を紹介するためのスライド作成。何の知識もないところから文献に当たり、役職員から話を聞くなどするうちに不思議な縁と物語に、すっかり心ひかれてしまいました。

子どもたちの帰還以来、当法人とポーランドの関係は長く途絶えていました。ところが2010年、日本文化に造詣が深いことでも知られる当時のヤドヴィガ・ロドヴィッチ駐日ポーランド大使が休日の散策中に偶然、当法人の看板を見つけて声をかけてくださったことから、90年の時を経て交流が再開しました。前ポーランド大使は孤児の話や福田会のことをご存じで、福田会が現在もあるということに驚いておられたそうです。2012年4月には当時のアンナ・コモロフスカ大統領夫人が当法人を訪問。「シベリア孤児救済事業完了90周年」の記念プレートを贈ってくださいました。また、2013年12月には歴史の継承と施設の子どもたちとの友好の証として彫刻家、ツィリル・ザクシェフスキさんの作品「Blooming Universe」(あらゆる命を生み育む宇宙)を、ポーランド大使館より寄贈していただきました。

また同じく大使館より、7月23日~24日にワルシャワのレギアスタジアムにて、ポーランドNPO法人Hope for Mundialの主催で開催される「児童養護施設の子どもたちのためのサッカーワールドカップ」への招待をいただき、当法人の施設の子どもと東京都内にある他施設の子どもたちとの混成チームで出場することが決定しています。

そんな中、当法人では前述の「Blooming Universe」の修復とセレモニー開催のためのクラウドファンディングを始めました。本作品は搬送中に壊れてしまい、修復の機会を得られないまま今日に至っていました。共感いただけましたら、ぜひご支援をお願いいたします。

2019年はポーランドと日本の国交樹立から、2020年はシベリア孤児救済からそれぞれ100年を迎えます。これからも当法人はポーランドと日本の友好に努めたいと考えています。

●養護施設の子どもたちとポーランドとの絆~オブジェを修復したい
https://readyfor.jp/projects/Keep-it-up