ウォッカ(wódka‐ポーランド語ではヴトゥカ)はポーランドを代表するアルコールで、ジン、テキーラ、ラムと並ぶ4大スピリッツの一つといわれています。トウモロコシ、小麦、大麦の穀類、ジャガイモなどのイモ類を原料として糖化、発酵、蒸溜し、得られたスピリッツを濾過したものです。ちなみにwódkaという言葉はポーランド語のwoda(ヴォダ‐水)を可愛くした呼び名です。「お水ちゃん」と言ったところでしょうか。日本だと男性が飲む強いお酒というイメージですが、ポーランドでは老若男女に愛されています。結婚式などのおめでたい席や親戚一同集まっての食事時には欠かせないお酒です。
透明で無味無臭なのが特徴で、そのままストレートで飲むほか、カクテルのベースにも使われています。アルコール度数はほとんどのものが40パーセントです。透明なものはczysta(チスタ)と呼ばれます。バーなどでストレートのショットを頼むときも、この名称を使います。冷凍庫に入れてキンキンに冷やしたものをウオッカ用の小さいショットグラスに注ぎ、一気に飲み干します。そのままだと喉が焼けるので、ジュースやコーラ、お水をチェイサーとして飲みます。ポーランド産のウオッカの有名な銘柄にはChopin(麦・ライ麦・イモ)、Belvedere(ライ麦)、Wyborowa(ライ麦)、J.A.Baczewski(イモ)、Luksusowa(イモ)、Dębowa(麦)などがあります。これらは免税店でも購入可能です。
透明なものの他にも、味付き・香り付きのフレーバーウォッカもあります。その中でも有名なものに、日本ではズブロッカの名前で知られているżubrówka(ジュブルフカ)があります。これはライ麦ベースのウォッカにポーランドの世界遺産「ビアウォヴィエジャの森」で採れるバイソングラスを漬けたもので、必ず1ビンに1本バイソングラスが入っています。バイソングラスはバイソンが好んで食べるといわれているものです。肝心のジュブルフカのお味ですが、まろやかで、草の香りがします。これは日本の桜餅などと同じ「クマリン」という成分が入っており、そういわれると確かに桜餅の味と匂いがしないこともありません。冷やしたものをそのままストレートで飲むのもいいですが、リンゴジュースで割ると甘さの中にスパイシーさが混じった味になり、とてもおいしいです。ポーランド人はこのカクテルをszarlotka(シャルロトカ‐アップルパイという意味)と呼びます。
その他にもフルーツ味のwiśniówka(ヴィシニュフカ‐チェリーウオッカ)、cytrynówka(ツィトリヌフカ‐レモンウオッカ)、malinówka(マリヌフカ‐ラズベリーウオッカ)やミント味のmiętówka(ミエントゥフカ)などがあります。ハーブ・スパイスとドライフルーツを原料とした、甘さの中にかすかに苦味のあるWódka Żołądkowa Gorzka(ヴトゥカ・ジョウォントコヴァ・ゴシュカ)も人気があります。このウオッカはニガヨモギやリンドウの根などが入っており滋養・強壮にも効果があるようです。
また、風邪のひきはじめや胃の調子が悪いとき、ウオッカに黒胡椒を多めに入れて飲むと調子がよくなると言われています。が、お酒に弱い人は却って具合が悪くなることもあるので、試すときは自己責任で!