スラヴの神々を信仰するメタルバンド(メタル漬け生活@ポーランド)

今日はポーランドのStworzというメタルバンドを紹介します。このバンドは、2007年にポーランド東北部のオルシュティンで結成しました。オルシュティンは14世紀にドイツ騎士団によって作られた街で、この街が属するヴァルミア=マズールィ県では、グルンヴァルトの戦いを再現する巨大イベントが行われたりもします。

このバンドの特徴は、ブラックメタルとフォークを掛け合わせた音楽スタイルです。暴力的でおどろおどろしいイメージのブラックメタルとは少し違い、民族楽器を使用したり、女性のクリーンボーカルを起用したりと、ブラックメタル初心者にも聴きやすい曲を演奏しています。中には鶏の鳴き声がサンプリングされていたり、ポーランドの伝統的な民謡「Z tamtej strony jeziora(湖の向こう岸から)」という曲をメタル風にアレンジしたりもしているんですよ。

また、バンド名はスラヴの悪魔の一族にちなんでつけられたそうです。キリスト教伝播以前のポーランドには、多様な神々を信仰する土着宗教が根付いていました。当時の人々は、スラヴの神々を大切にしており、現在のメタルバンドにも遠い祖先やキリスト教以前の宗教を敬い、音楽に組み込んでいるバンドが多数存在します。そのようなバンドは「ペイガンメタル」と呼ばれており、Stworzもペイガンメタルバンドのひとつです。

こちらは、Stworzが所属しているレーベルが製作した公式ビデオクリップ。ポーランドのドキュメンタリー映画の第一人者ともいわれるWładysław Ślesicki監督の映像作品が使用されています。ボーカルはがなり声ですが、モノクロで映し出されるポーランドの自然や村の景色と、少しノスタルジックなメロディーが妙にマッチしています。