トルンの ジンジャーブレッド (Pierniki Toruńskie)

トルンの ジンジャーブレッド(ポーランド語でピエルニキ) は中世にトルンで誕生した、ポーランドの伝統的な名物のお菓子です。なぜこのお菓子がトルンの名物になったのかというと、もともとこの一帯は肥沃であったために質のいい小麦が育ったこと、また近くには養蜂の盛んな場所があったからでした。材料に欠かせないスパイスは、主にインドなどの遠い国のものでした。

トルンのピエルニキについての記述はなんと1380年、ニクロス・チャナというパン職人についての記述の中に初めて現れます。その後ピエルニキは国内だけではなく国外でも愛されるようになりました。16世紀になるとパン屋だけではなく、トルン近くのシトー派修道会の修道士たちもピエルニキを作るようになり、国外で販売するなどの成功を収めました。しかし18・19世紀になるとピエルニキの需要は低迷。1825年には3つのパン屋しか残っていませんでした。その後資本主義が台頭すると、ピエルニキは大企業の工場で大量生産されるようになりました。

ポーランドではピエルニキは、国王が贈り物にするなど伝統的に重要な意味を持っていました。18世紀のポーランドの詩人フレデリック・ホフマンはポーランドの名物として「グダンスクのウォッカ、トルンのピエルニキ、クラクフの女性そしてワルシャワの靴」の4つを挙げています。

ピエルニキには柔らかいものと固いものがあります。固いものは家の飾りにすることもあります。トルンにはピエルニキ博物館もあるので、トルン滞在の際はぜひ足を運んでみては?

(写真はtoruntour.pl; kuchniaplus.plのものです)