2012年度の交通事故件数は37,046件(前年度比-7.5%)、死亡者3,571人(前年度比-14.8%)であった。
日本では事故件数665,138件、死者数4,411人だが、人口や車両保有台数を考えると、ポーランドの交通事故発生率と死者数はかなり高いと言える。しかし、ポーランドの2003年度の事故件数を100とした場合、2012年度は事故件数72.5、死者数63.3と年々減少傾向にある。
2011年度のヨーロッパ諸国の交通事故件数を見てみると、ドイツが30万件、イタリア20万件、イギリス15万件と最も高く、ポーランドはフランス(6.5万件)、ベルギー(4.7万件)に続く6位で4万件であった。ただし、死者数は4189人で、ドイツの4009人、フランスの3963人、イタリアの3860人よりも高く、事故総数における死者数の割合はワースト1である。
事故原因では、速度違反が28.3%(死者数の42.2%)、優先通行妨害が26.2%(死者数の15.1%)、歩行者妨害等14.5%(死者数の9.2%)、車間距離7.0%(死者数の2.2%)、追越5.8%(死者数の9.6%)だ。
県別に見ると、事故件数に対し死亡者の確率が最も高いのは、マゾフシェ県、ポドラシェ県、クヤーヴィ・ポモージェ県で、逆に最も少ないのはマウォポルスカ県、ポモージェ県であった。
月別の交通事故発生件数は10月が10.1%(死亡者10.6%)と最も高く、次いで9月の9.8%、7月の9.7%と、冬季より夏から秋にかけて事故が多いことがわかる。(死亡者では10月に次いで8月と11月が共に10%)事故件数、死亡者が最も少ないのは2月の6.0%(死亡者5.9%)であった。
曜日別の事故発生件数は、金曜日16.6%(次いで月曜15%)が最も高く、日曜日11.5%(次いで火曜13.9%)が最も低いが、死亡者の割合は土曜16.9%(次いで金曜16.2%)が最も高く、火曜11.1%(次いで水曜12.9%)が最も低くなっている。
時間帯別では、15-18時の間が最も高く、02-05時の間が最も低い。死亡者の割合は16時-21時の間が最も高く、12-05時の間が最も低い。
事故は特に雨天や降雪時に多いということはなく、天候が良く日中(68.8%)に起こることの方が多い。また、カーブや坂道よりも直線道路での事故が多い。
道路別では、片道1車線の双方向道路(一般道に多い)での割合が実に82.3%の事故率を占めている。最も確率が低いのは高速道路(0.7%)、自動車道(0.4%)である。片道1車線の双方向道路での主な事故原因は、速度違反、歩行者妨害、優先通行妨害、そして無理な追越、車間距離だ。高速道路では、速度違反、居眠り、車間距離などが主な事故原因となっている。
事故を起こす年齢層の割合は18-24歳が最も高い。
飲酒運転
交通事故の12.1%は飲酒に因るもので、死者数の16.4%に上る。
県別ではシロンスク県が13.5%と最も高く、ウッジ(10%)、マオポルスカ(9.9%)、最も低いのは2.0%のルブスカ県、オポーレ県の2.3%。飲酒運転による事故発生率は週末に集中しており、金曜日の15.3%、土曜日19.4%、日曜日19.6%、時間帯は16-21時の間が最も多い。月別では7月12.2%、9月10.7%、8月10.3%と最も高く、1月2月共に5.2%と最も低い。
2012年度の飲酒・酒気帯び運転による事故件数は、前年度より12,468件(6.8%)減少した。
また、飲酒した歩行者が原因による事故の場合、主な原因は車道への侵入(56.4%)、指定箇所以外での道路の横断(12.4%)、車道での寝転び(10.5%)などがある。歩行者による事故は秋から冬にかけてが多い。
ヨーロッパ諸国での呼気アルコール濃度の許容範囲は、ドイツ、フランス、イタリアなどが0.25mg未満であるのに対し、ポーランドは0.1mg未満と比較的厳しい。しかし、チェコ、スロヴァキア、ハンガリー、ウクライナなどの周辺諸国は0mgで、実質的にはグラス1杯のビールでも飲酒後の運転は禁止されている。その他はロシアが0.15mg、リトアニアは0.2mg、例外はイギリス、アイルランドで0.4mgまで許容されている。
尚、実質的なアルコール検査は日本同様呼気によって行われることが多いが、法律的にはアルコールの血中濃度(%)で表現されることが多い。呼気アルコール濃度0.25mgは血中濃度0.5%に相当する。
参照:ポーランドの交通事故2012(警察庁)