公共交通チケットの大幅値上げに高いゴミ処理代、教育関係者の賃金はカットされる一方、莫大な費用をかけた国立スタジアムの建設、いつ終わるともわからない地下鉄2号線の工事。- ワルシャワの現状と市長ハンナ・グロンケヴィッチ=ヴァルツ氏の市政に不満を持つ市民たちから市長退任を求める声があがり、終に市民投票が行われる事態となりました。
市長退任を求める先鋒は2012年に設立されたワルシャワ共同自治体です。この団体はワルシャワ市内の多数の自治体が集まったもので、市民の生活水準の向上と市の経営管理の変化を目標としています。設立当時から市民及び市が抱える問題について取り組んできたそうです。代表であり、ワルシャワ・ウルシヌフ区長でもあるピオトル・グジャウ氏は、現在ワルシャワ市が抱える問題の多くは現市長によるずさんな市政によるものだとの見解を示し、2013年5月23日、グロンキエヴィッチ=ヴァルツ氏の退任を決定する市民投票を行なえるよう国政選挙事務所へ申請しました。
市民投票を実施するためには申請時から60日以内に、選挙権を持つワルシャワ市民の10%、つまり約13万4千人分の署名が集まらなければなりません。この署名収集にはグロンキエヴィッチ=ヴァルツ氏が所属する「市民プラットフォーム」党(PO)に対抗する「法と正義」党(PiS)や「団結するポーランド」党(Solidarna Polska)なども協力。最終的に集まった署名数は13万4千を大幅に上回るもので、これにより50日以内に現市長の退任を決める市民投票が行われることが決まりました。
この知らせを聞いたグロンキエヴィッチ=ヴァルツ氏は、市民の不満がある現状を認めた上で、最後まで戦うとの姿勢を示しました。さらにこの投票は500万ズウォティ(約1億5千万円)もの費用がかかること、また自分の任期が終わる1年前にこのような選挙が行われることは不適当との見解を示し、市民に当日は選挙へ行かないよう呼びかけました。実際市長の任期中にこのようなことが起きたのは今までに例がなく、現市長の任期もあと1年ということもあり、市民の間でもこの投票に意味があるのか賛否両論あるようです。
退任要求が出たあと、8月末までかかるはずだった地下鉄の工事が10日も早く終了したり、ゴミ処理代も突然下がったりと、市長も市民に向けてのアピールを始めています。PO党首であり現首相のドナルド・トゥスク氏、そして現大統領のブロニスワフ・コモロフスキ氏も、市民投票へは行かないように呼びかけています。
投票は10月13日日曜日に行われることが決定しました。政治的な影も見え隠れするものの、まだまだポーランド人には自分達の手で町や国を変えていくのだ、という意識があるということが強く感じられる出来事ではないでしょうか。
(写真は fakt.plのものです)