あれやこれやという間に2人目が生まれてしまいました。早いものです。上の子がここの幼稚園に通っていることもあり、ワルシャワで産みました。
以前、ここで出産された方にアンケートをお願いしたことがあるので、だいたいの事情は知っているつもりだったのですが、実際やってみると色々なことがわかりました。
教訓1: ラマーズ法の呼吸をマスターしておこう。ご主人がつきそうなら、一応のことはわかっていてもらうとなおよし!
こちらではあまりポピュラーじゃないようで、助産婦さんも知らないことが多いです。「ヒッヒッフー」とやっていると、感心されました。陣痛も最後の段階になると痛さのあまり、呼吸法どころか息すらできなくなります。そういう時、横で「ヒッヒッフー」と言ってもらうと、息をすることを思い出します。
ちなみにつきそう人に「頑張れ!」と励まされても、「こんなに痛いのに何を頑張れっちゅーねん。ばかやろー!」としか思えません。無意味です。
(トップ写真の赤いゴムボールにまたがってピョンピョン跳んで、いきみをのがしました。)
教訓2: 貴重品以外、持ち込みたいと思うものはすべて持ち込もう。予定日が近くなったら、準備を怠りなく。
あくまで病室が個室の場合です。(病院は泥棒も多いです。日本でも同じ)持ち込んで良かったと思った物は以下の通り。
*飲み水 猛烈にのどがかわきます
*ホカロン 陣痛のピーク時に腰にあてるとめちゃめちゃ気持ちいい。医者や助産婦さんに珍しがられ、痛いさなか「これ何?」と何人にも聞かれた
*あめ 日本と違って、麻酔のことを考慮に入れ、食べたらだめと言われます。空腹をまぎらわすため
*ポーランド語の辞書 先生はともかく、助産婦さんは英語がだめな人がほとんど。みんな親切でしたが、言葉が通じないことにゃどうしようもない。 あらかじめ出産用語を抜き出して単語集にしておくと楽です。
*出産に関する要望をポーランド語にした物 先生にはあらかじめ言ってあっても、他のスタッフに伝わっているか不安な時に見せるとよい
*育児書 2人目でも、お風呂の入れ方やおっぱいマッサージなんかはもう忘れちゃってます。
*お弁当 病院の食事は、超簡素。だから、みんな1日で退院するのかも。 朝食、夕食はパン4切れ、ハム、カッテージチーズ、紅茶。 期待の昼食も4日間一回も肉がなかった!
教訓3: 陣痛の痛みが呼吸法でのがせる間は、ベッドに寝たりせず、ひたすら歩き回ろう。
これは助産婦さんにもしつこく言われましたが、疲れで横たわってしまい、その結果、陣痛が強まる割に子宮口がなかなか開かないという最悪の事態に陥りました。そうすると、先生に「子宮マッサージ」なるものを施されます。これ、悶絶ものです。ちなみに子宮口がちゃんと開いていないのに、いきんでしまうと、出口が裂けます。経験者に聞くと、産後「筆舌に尽くしがたい痛み」だそうです。
教訓4: 「無痛」という字面にひかれ、安易に無痛分娩(硬膜外麻酔)を選ぶなかれ。
私の場合、自然分娩を希望していましたが、最後の最後で「無痛分娩」を選んでしまいました。これを希望する方は、硬膜外麻酔とは何なのかをしっかり把握した上で選んだ方がよいと思います。手短に言うと、脊髄の外側にある硬膜外腔にする麻酔ですが、4~5mmの間隔にびしっと決めないといけないので、熟練した麻酔医でないとできないそうです。
ここの医療水準が明らかに日本より低いということ、また日本人とポーランド人の体質の差などを考慮に入れると、いかがなものでしょうか。私はやむを得ず無痛分娩にしましたが、ただの点滴をするのに10回以上ぶすぶすとさされた腕を見ていると、なんだか不安を感じたのは事実です。実際、麻酔をやっているとき、先生が1回しくじって、さした針から脊髄液のような物がピューって出てたらしい。(旦那談。背中なので、本人には見えない。でも、寒すぎ。)
ただ、無痛分娩の良い点は、母体の消耗度が低い、すなわち産後の快復が早いということでしょうか。あと、無痛といっても陣痛はちゃんと感じます。痛みが弱まり、分娩間際でもいきみがのがせる程度の陣痛になります。(頭がちょっとぼーっとした)
いずれにせよ、無痛といっても、赤ちゃん、母体ともにそれ相応のリスクは十分にあるということをちゃんと踏まえた上で選択しないと、後から後悔しても遅いです。
教訓5: ここで出産するかどうかを決断するのは、あくまで当事者であることをお忘れなく。まさに「Do it at your own risk」
私個人の意見では、初産だったら絶対日本を勧めるし、経産婦でも日本に帰国出来る人は日本で産んだ方がリスクは少ないのではないでしょうか。特に初産の人は、出産はともかく、後のベビーのケアなんかは日本の方が懇切丁寧に教えてくれます。(日本はちょっといきすぎという感も)
ポーランドだと聞かない限り教えてはくれないし、母乳育児に関しても日本の方が徹底しています。(おっぱいがはって困ったときも、「赤ちゃんに吸わせて」と言われるばかりで、マッサージとかも一切なかった)
あと、健康上問題のある子が産まれたときの対応も日本の方が充実してることは言うまでもありません。
「じゃあ、そういうあんたはなぜここで?」とつっこみを入れたくなるでしょうが、それは、私がまれに見る超健康妊婦で妊娠中のトラブルが一切無かったこと、一人目も安産だったこと、日本に帰っても産むところがなかったこと、旦那のそばで産みたかったこと、家の近くにいい病院があったこと(いろいろ書いたが、食事以外のサービスについては満足している。こちらの希望はすべて聞いてくれた)などなどの事情があってのことです。
総括すれば、「もちろんここでも産めるけど、他人様に軽々しくは勧められない」というところでしょうか。
みなさん、くれぐれもよーく考えた上で、決断してください!