伝統の蜂蜜酒
ポーランドでは葡萄が収穫されなかったことから、中世より蜂蜜酒の製造が伝統化されてきた歴史がある。ポーランドはウオッカ発祥の地としても有名だが、蜂蜜酒はウオッカに比べ栄養分も多く高価であったため、庶民が気軽に飲む酒というよりは、機会を選んで飲むか、滋養の際に用いられた様だ。現在では高級酒というイメージはなく比較的安価に購入することができる。また、2008年よりEU 委員会によりポーランドの「伝統酒」として保証、認定されている。
蜂蜜酒の種類は、「1.5 (półtoraki – プウトラキ)」、「2 (dwójniaki – ドゥヴイニャキ)」、「3 (trójniaki – トゥルイニャキ)」、「4(czwórniaki – チフルニャキ)」などの数詞で大別されるが、これは蜂蜜と水をたした量で表している。「1.5(półtoraki)」は蜂蜜「1」に対して水「0.5」(1+0.5=1.5)、「2(dwójniaki)」は蜂蜜「1」に対して水「1」(1+1=2)。水の量が多いほど早く発酵し熟成させる期間が短い。「3 (trójniaki)」では1.5 年~4 年ほどの熟成期間が必要だが、「1.5 (półtoraki)」は8年~10年の歳月をかける。アルコール度も蜂蜜の量が少ないほど低く、「4 (czwórniaki) 」では9-12%、「1.5(półtoraki)」は15-18%程度になる。
原料となる蜂蜜の種類は「蕎麦」が主流で、「ヒース」や「季節の花々ブレンド」が用いられることもある。ポーランドの蜂蜜酒はドイツのビールように厳格な製造法が規定されているわけではないが、基本的な原料として蜂蜜、水、酵母、その他は好みによってベリーやキイチゴの果汁、しょうがやバニラなどの香辛料などを加える場合もある。
ルブリンにある「APIS」はポーランドで最も古い養蜂組合で、360 年間同じレシピで蜂蜜酒を造り続けている。
(写真はpolska.lovetotravel.plからのものです)