混浴露天風呂の初体験

私が学生時代だった約10年位前の出来事です。日本を訪れた時、日本の友達と共に福島県の会津若松周辺にあった露天風呂に行きました。この辺りの自然はとても美しく、私が訪ねた11月は美しく彩られた紅黄葉が綺麗でした。新鮮な空気と美しい景色に囲まれての温泉は楽しそうだなあと思いましたが、この入浴に関わる諸体験のせいで周辺の魅力をちっとも楽しめませんでした。
まず服を脱いで、裸体をかろうじて覆い隠すような小さなタオルだけになりましたので、秋の寒さが身に染みました。女性同士だから大丈夫、恥ずかしがることはないと思いました。だれもいない温泉の中に早く飛び込んで、体をぽかぽか温めたい、そして美しい風景を楽しもうと周囲を見回してぎょっとしました。

入浴の用意ができている日本人のおじさんが三人も近づいて来ました。彼らを見た瞬間、ここはだれもがいつでも利用できる混浴だという事も分かりました。入浴する前に友達が教えてくれたらよかったのに…
当時、若くとっても恥ずかしがり屋の私にとって、楽しそうな露天風呂初体験は一転して一生忘れない極悪な拷問となってしまいました。タオルが体の最も大切なところをちゃんと覆い隠しているかどうか、しょっちゅうそわそわしくチェックしたり、同時にその小さなタオルを引っ張ってできるだけ伸ばそうとしてがんばりましたが、残念ながらタオルがゴム製じゃなく全身を顎から足のかかとまで隠すことが出来ませんでした。
お風呂に首まで浸かり、タオルが外れないようにじっと動かないでいるしかありませんでしたが、私の奇妙な動きは地元のおじさん達の好奇心をいっそう引いてしまったようです。日本では白人は未だによく見られる存在ではなく、特に観光地じゃない田舎ではほとんど見かけないのです。ですから、彼らの目から見ればほとんど裸同然になった金髪の若い外国女性がどんなに珍しいかようく分かりました。目を皿のようにして、私をちろちろと見られている視線を感じ、恥ずかしくて穴があったら入りたい気持ちでした。

更に、舞台経験や度胸が全くない私にとっては、お風呂から出て服を着ることも苦難の道でした。温泉に体を骨まで温めてもらいましたが長時間の入浴で動きが遅くなり、なおふらふらした手で手際よく服を着ることが出来ませんでした。服のボタンは車内で掛けました。できるだけ早く遠くへ逃げたかったからです。外の冷え冷えした寒さを一切感じなく、興奮のあまり数時間後も心身ともに燃えていました。その後、数年間日本の混浴露天風呂に近づかなかったのはいうまでもありません。
(在ポ 35歳 女性 会社員)

(写真はhotel.jpのものです)