バルシチ (Barszcz)

 
バルシチ(barszcz)はバルシチ・チェルヴォヌィ(barszcz czerwony)とも呼ばれるポーランドの伝統的なスープで、鮮やかな赤色が特徴です。この色は材料であるビーツ(burak)の色素によるものです。ロシア料理のボルシチと名前はそっくりですが、あちらは肉や野菜がたっぷり入っているのに比べ、こちらのバルシチは基本的にスープだけを頂きます。

基本的な作り方としては、まずビーツを皮付きのまま柔らかくなるまで茹で、茹で上がったら皮をむいて千切りにします。別の鍋にスープ用の香味野菜や香辛料、だしを取るための肉または骨(大抵は牛のもの)をいれて煮込み、スープを作ります。野菜と肉を取り除いたスープに先ほどの火を通したビーツ、皮をむいたにんにく、ローレルリーフとオールスパイス、お酢少々(レモン汁を使うことも)を入れて10分から15分煮ます。スープを漉したら、最後に塩・胡椒、マジョラムを入れて出来上がり。

家庭によって作り方は多少異なり、先にビーツに火を通さず、皮をむいて小さく切ったビーツをそのままスープに入れることもあるそうです。また大事なのはビーツを入れた後は長く煮ないこと。長すぎるとせっかくの綺麗な赤色が黒っぽく変色してしまうのだとか。

バルシチはそのままいただく他、茹でたじゃがいもやウシュカ(uszka)と呼ばれる小さいピエロギを具にすることもあります。きのこ入りのウシュカを浮かべたバルシチは、ポーランドではクリスマスイブのテーブルになくてはならないものです。

バルシチのバリエーションにはBarszcz ukraiński(バルシチ・ウクラインスキ‐ウクライナ風バルシチ)というものがあり、これは普通のバルシチにキャベツや白いんげんなどの野菜、トマトピューレを加えた具沢山のものです。また夏にはボトヴィンカ(botwinka)と呼ばれるスープがよく食べられますが、これはまだ若いビートを葉と一緒にスープにしたもので、ゆで卵やサワークリームをのせることも。さらにこのボトヴィンカにケフィア(kefir)もしくはヨーグルト(jogurt)を混ぜると、フウォドニク(chłodnik)もしくはリトアニア風フウォドニク(chłodnik litewski – フウォドニク・リテフスキ)と呼ばれる、夏にピッタリのさわやかな冷製スープになります。

(写真はchoinki.comのものです)