ヴロツワフ (Wrocław)

ヴロツワフはワルシャワから南西に約350km、ワルシャワ、ウッジ、クラクフに次ぐ人口65万人のポーランド第4の街で、ドルノシロンスク県の県都です。第二次世界大戦以前はドイツ領でBRESLAU(ブレスラウ)といわれました。それ以前にもチェコ王国やプロシアの領土であった時期が長く、ポーランドの領土として安定していた時期は13世紀まで遡らなくてはなりません。

ヴロツワフの見所はたくさんあります。まずはなんと言っても旧市街。市庁舎(Ratusz)や教会のゴシック建築は風格のある美しさです。ヴロツワフ大学内にあるバロック様式の講堂(Aula Leopoldyńska)も見逃せません。シュチトニツニツキ公園(Park Szczytnicki)には、名古屋から9人の職人さんたちが整備、監督に派遣されて完成された、日本庭園(Ogrod japonski)もあります。20世紀の鉄筋コンクリート建築の基礎を開発したドイツ生まれの建築家マクス・ベルクの最高の作品として有名な百周年記念ホールはユネスコ世界遺産にも認定されています。

忘れてはいけないのが町中にひそむ小人の銅像たち。なぜ小人なのでしょうか?1980年代、「オレンジ・オルタナティヴ(Pomarańczowa Alternatywa)」という反社会主義運動がヴロツワフで始まりました。これは小人を使った落書きやパフォーマンスアートを行って社会主義を風刺すると言うものでした。民主化後、この小人たちの存在は忘れらていましたが、2005年にポーランドのアーティスト、トマシュ・モチェックが5体の小人像を制作したのを皮切りに、現在までに町中にどんどん増え続けています。「小人マップ」なるものも販売されているほどです。戦後のヴロツワフの歴史を知りたい方はCentrum Historii Zajezdniaという資料館がおすすめ!旧市街からは離れていますが、膨大な資料が楽しく見やすく展示されていてとても勉強にります。

音楽・芸術の分野では、ワルシャワやクラクフがポーランドの正統派を競うようなところがあるのとは対照に、ヴロツワフは独自の道を切り開いているようにも見受けられます。例えば毎年7月には国際映画祭「ノヴェ・ホリゾンティ(Nowe Horyzonty)」が行われ、全世界から集まった映画を楽しむことができます。映画の種類も一般向けのものからアート映画、自主制作映画や前衛作品までと幅が広く、ポーランドの映画マニアが集結する場所となっています。また毎年9月に行われる国際フェスティバル「ヴラチスラヴィア・カンタンス」(Vratislavia Cantans)は、聖壇曲やオペラ等の声楽を中心に模索される様々な試みは、世界的な注目を集めています。演劇分野でも、若手劇団のためのフェスティバルや、モノローグ演劇や小形式の舞台の発表の場を積極的に設けています。

ヴロツワフの美しい風景を楽しみたいのであれば旧市街の聖エルジュビエタ教会(Kościół św. Elżbiety)や、ヴロツワフで一番古い地区であるオストルフ・トゥムスキ(Ostrów Tumski)の聖洗礼者ヨハネ大聖堂(Katedra św. Jana Chrzciciela)の上にある展望台に上ってみましょう。特に聖エルジュビエタ教会はエレベーターがないので狭い階段を歩き続けなければいけませんが、上り切った時の爽快感は格別です。天気が良ければオドラ川を船でクルージングもいいですね。

ヴロツワフはワルシャワから普通電車で6時間ほどですが、超特急列車ペンドリーノを利用すれば約3時間半で到着します。週末の小旅行にぜひ訪れてみてはいかがでしょうか?

krasnoludki
ヴロツワフについては2017年NHK「世界ふれあい町歩き」で放送されています。機会があればぜひご覧ください。

(写真はwww.mmwroclaw.pl、www.krajoznawcy.info.plのものです)

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