アウシュヴィッツ強制収容所見学記

ポーランドの世界遺産のひとつであるアウシュヴィッツ強制収容所跡を見学して来ました。今は博物館になっていて、多くの観光客が訪れる一大スポットになっています。

まずアウシュヴィッツのほうに行きました。有名な「働けば自由になる」と書いてある門を入ると、煉瓦でつくられた建物が整然と並んでいます。その建物の中に展示がされているのですが、当時の収容者たちのトランクやメガネや靴はおろか、刈り取られた髪の毛やそれを使用して作られた布地までが展示されています。それらの布でドイツ兵の制服を作ったりしていたのだそうです。銃殺刑に使われた死の壁や地下牢、有名なガス室、そして焼却炉も見ることが出来ますが、どうして同じ人間にこういうことが出来たんだろうと思わずにはいられませんでした。人体実験の犠牲になった子供や女性たちの写真も展示されていますが、正視するに耐えないほど悲惨なものでした。

その後ビルケナウに行きました。入り口の大きな門の下から、奥の林のほうまでまっすぐ線路が続いています。収容者達はこの線路を走る貨物列車にぎゅうぎゅう詰めにされて、ここまで送られてきたのだそうです。到着するとすぐに選別が行われ、労働力になると判断された人は収容されましたが、それ以外の人はすぐガス室送りになりました。焼却炉は絶え間なく稼動し、灰は池に捨てられたり肥料として使われたのだそうです。たった70数年前に、この線路を通って殺されていった人が何十万人もいたのかと思うと、「どうしてこうなった?」と思わずにはいられません。アウシュヴィッツのほうは情報や視覚でウッとなりましたが、ビルケナウのほうではもっと感覚的というか、説明書きがないからこそ余計にここに連行された人たちの絶望感が伝わってくるような気がしました。

のほほんと日本で育った人間には考えられない惨劇です。確かに、怖いから、気持ち悪いから行きたくないという声も聞きます。でも行って損する場所ではないです。もちろん博物館を出た後はげっそりするし食欲もなくなりますが、そのためにここのことを忘れることが出来ないし、忘れることが出来ないからこそ、自分達とは全く別の世界じゃないのでは?と考えることが出来るんだと思います。と言うより、一歩間違えたら今でもこの惨劇が起きても不思議じゃないし、じゃあそれを繰り返さないためには?と思わせてくれることに意義があるんじゃないでしょうか。

アウシュヴィッツ:
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ビルケナウ:
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