ヤルゼルスキ元ポーランド大統領死去

 
ポーランド社会主義政権の最後の指導者であり、その後民主化されたポーランドの大統領となったヴォイチェフ・ヤルゼルスキ(Wojciech Jaruzelski)氏が、2014年5月25日15時24分、ワルシャワ市内の病院で死去しました。90歳でした。

ヤルゼルスキ氏は首相であった1981年、高まる民主主義への要求に対抗して戒厳令を断行。ポーランドの民主主義運動の中心であった自主管理労組「連帯」のリーダーであったワレサ元大統領など多数の活動家を拘束・弾圧するなどして非難を浴びましたが、83年の戒厳令解除後は「連帯」との対話に乗り出し、ポーランド民主化への筋道をつけたとされています。

2007年には戒厳令布告の際の民主化弾圧の責任を問われ、ポーランド検察によって起訴されています。ヤルゼルスキ氏は戒厳令について、「ソ連の軍事介入を防ぐためには仕方なかった」と述べていますが、民主化運動を弾圧したことを批判する人が多い一方、彼の行動を正当化する人もおり、国内でも氏についての評価は割れています。

ヤルゼルスキ氏は2011年よりがんの治療を受けていましたが、今月初めに脳卒中になり、呼吸困難や体の麻痺などの症状を訴え、治療中でした。