「切り裂きジャック」(ポーランド語ではKuba Rozpruwacz – クバ・ロズプルヴァチ)の正体はポーランド人だった、という発表が話題を集めています。
「切り裂きジャックは」1888年にロンドンで起きた連続猟奇殺害事件の犯人で、この一連の事件で少なくとも5人の売春婦が犠牲になったと言われています。これまでに犯人の正体についてはさまざまな議論がなされ、犯人と有力視される人物も数人いたものの、身元が判明することはありませんでした。
しかし「切り裂きジャック」研究家であるラッセル・エドワーズ氏は2014年9月に発表した本の中で、被害者が身につけていたショールをDNA鑑定したところ、「切り裂きジャック」の正体はユダヤ系ポーランド移民のアーロン・コシミンスキ(Aaron Kośmiński)であったことがわかったと発表しました。
このショールは犯行現場から捜査官が妻にプレゼントしようと持ち帰りましたが、血液が付着していたためにずっと使用されることはなく保管されたままでした。7年前にオークションに出された際にエドワーズ氏が購入。ショールは研究家チームへ渡され、DNA検査が行われました。その結果、ショールに付着していた体液のDNAがコシミンスキの子孫のDNAと一致したのだそうです。
しかし専門家の間では、このショールは長い間に多くの人が触れているために結果に信頼性が乏しいと指摘する意見もあります。
コスミンスキは当時犯人として有力視されていた6人のうちのひとりでしたが、証拠不十分で立件されることはありませんでした。彼はクオダヴァ出身のユダヤ系ポーランド人で、犯行当時23歳。理髪師として働いていました。1880年家族と共にイギリスに移住。当時の資料によれば、彼は女性を憎悪していたそうです。また事件当時統合失調症を患っていたとみられており、1891年に初めて精神病院へ入院。1919年に死亡しています。