ポーランドの航空会社といえば、すぐにポーランド航空(LOT)を思い浮かべると思いますが、実はLOT以外にも航空会社はあります。下記は旅客機で定期就航しているものに限っています。チャーター便、カルゴ(貨物便)などは含みませんのでご了承ください。
ポーランド航空(Polskie Linie Lotnicze LOT)
ポーランドを訪れた人なら誰でも1度くらいは乗ったことがあるのではないでしょうか?もちろんポーランド最大の航空会社です。
国際線は欧州の各都市はもちろんですが、シカゴ、ニューヨーク、トロントなどの北米大陸、また、中国・北京にも直行便が飛んでいます。過去にはタイ、インド、シンガポール、ヴェトナムなどアジアへの便もありました。日本への直行便も常に候補に挙がりますが、定期就航には至らず、夏季等にチャーター便が運行されるのみです。
ニューヨークはともかく、なぜシカゴ?と不思議に思う人もいるでしょう。それはシカゴには国外最大のポーランド系移民がいるからなんです。その数は130万人以上と言われ、ポーランド人街もあります(詳しくは別記参照)。
また、ヨーロッパ内でも例えばウクライナのルヴフやイスラエルのテル・アヴィヴに直行便があるのも、ポーランドと関係が深いからです。その他は各国の首都とワルシャワを結んでいます。例外はドイツで、ドイツの主要都市とポーランドの主要都市に直行便が飛んでいます。
国内線もワルシャワと主要都市は結ばれていますが、地方空港同士は直行便が飛んでおらず、ほぼ全ての国内線がワルシャワ経由で乗り継がなければなりません。例えば、クラクフ~グダンスク間は直行便がないため、クラクフ~ワルシャワ、ワルシャワ~クラクフと乗り継ぎます。ワルシャワの待ち時間が1時間だとしても、3時間以上はかかってしまいます。そこで登場してきたのが、下記に紹介するユーロロットです。
ユーロロット(EUROLOT)
ユーロロットは1997年より運行され、国内線や比較的短距離なヨーロッパ各都市へ就航しています。LOTの下請けとして飛んでいることが多く、普段はあまり気になりませんが、れっきとした別会社です。
例えば、ワルシャワ~ベルリンのチケットをLOTで買い、チェックインもLOTのカウンターですが、機体はユーロロットです。その他でも搭乗する飛行機がプロペラ機ならば、それはユーロロットだと思ってまず間違いありません。2009年にブラジル製のジェット機を3台だけ新規購入していますが、その内2台はポーランド国防省の専用チャーター機となっています。残り1台はなぜかPLL LOTのマークになっているそうです。
国際線では2013年11月現在、アムステルダム、パリ、ローマ、スイス、ザルツブルグ、ポプラッド(スロヴァキア)に就航しています。ただし、これらはEUROLOTとしての就航で、LOTでの下請け運行は含まれていません。実はユーロロットが独自の路線を開拓しはじめたのは2011年7月から。なので、アムステルダムといっても、LOTと重複するワルシャワ発着便ではなく、グダンスク、クラクフを結んでいます。
同様に、パリ~ジェシフ、チューリッヒ~クラクフ、ローマ~ジェシフ、ザルツブルグ~ワルシャワを就航しており、これらの便に搭乗するためには、LOTでチケットを購入することはできません。上記のリンクから購入してください。
それでは国内線はどうでしょうか?こちらもLOTの下請け就航がありますが、独自路線として、ジェシフ~クラクフ、グダンスク~ルブリン、そして最も便利と思われるクラクフ~グダンスクを直行便でつないでいます。1日2便で所要時間は1時間20分ほど、料金も片道250PLN程度です。ちなみに同区間をインターシティ(特急列車)で移動する場合、ワルシャワで乗り換えて最短でも約9時間、料金は約200PLNですから、どちらが便利かは歴然としていますね。
スプリント・エア(Sprint Air)
スプリント・エアは2003年からカルゴやチャーター便を専門に扱ってきた会社です。ポーランド人でもこの航空会社の存在はほとんど知りません。なぜなら、現在就航している定期路線は1つしかないからです。その他は季節便、そしてやはりLOTの下請けとして国内線を運行しています。
2013年11月現在、ワルシャワ~ジェローナ・グラ(Zielona Gora)を毎日2便で結んでいます。季節便では、ワルシャワ~ビドゥゴシチ(Bydgoszcz)、また、LOTの下請けではワルシャワ~カトヴィッツェを飛んでいます。
ワルシャワ~ジェローナ・グラ(約450km)の片道料金は、日程や予約状況にもよりますが、安いもので199PLN(税込)です。ちなみにジェローナ・グラには以前LOTが飛んでいましたが、現在はスプリント・エアのみ、路線もワルシャワ区間のみとなっています。チケットは上記のリンクから購入できます。
ちなみにこのスプリント・エア、ほとんどのの機種がスウェーデン製のSAABです。個人的には用がなくても是非乗ってみたい飛行機です。
既に倒産してしまった航空会社には、ポロニア(Polonia Airways)=1994-1999、LOTの子会社であったセントラルウィングス(Centralwings)=2004-2009、などがありました。このあたりの歴史や経緯はまた次の機会に書きたいと思います。