スラブ系で初めて、そして約500年ぶりに非イタリア人のローマ教皇に就いたヨハネ・パウロ2世の祖国ポーランド。統計年鑑(2016)に因ると、国民の実に92%がカソリック信者と分類され、これは世界一を示しています。確かにポーランドでは教会も多く、頻繁に集会が行われているし、町中で神父さんや修道女を見かけることも良くあります。 もっとも、皆が皆、毎週日曜のミサは欠かせないというような敬虔な信者とは限りません。離婚率も2016年度で約36.4%(婚姻数÷離婚数)と相当なものです。しかし、国民の多くは自身をキリスト教信者と意識しており、いわゆる冠婚葬祭にもキリスト教は密接に絡んでいます。クリスマスや復活祭、洗礼、聖体拝受など子供の頃から宗教的な行事に参加し、小学校の授業にも「宗教(=キリスト教)」があり、キリスト教的道徳を学んでいます。 ところで、ポーランドには全国で29,737人の神父がいますが、この数はイタリア、アメリカに次ぐ世界3位、全ヨーロッパの神父の約15%、全世界の神父の約7%がポーランド人という計算になります。 一方、修道士は1,075人、修道女は21,892人で、どちらもフランス、スペイン、イタリアよりもかなり低い数字になっているのは意外ですね。 それでは一体ポーランドに教会はいくつあるのでしょうか?これも統計年鑑で見てみると、ローマ・カソリック教会だけで10,200、正教会やプロテスタントなどを含めると、11,784(新興宗教は除く)に上ります。参考までに書くと、ワルシャワの旧市街には10、クラクフの旧市街には17もの教会があります。 これらの教会は全て教会管区に属していますが、ポーランドには14の教会管区及び大司教区があり、27の司教区、1,057の教区があります。こう言っても多いのか少ないのかわからないですよね。例えばお隣のチェコの場合だと、大司教区が2つ、司教区は8つしかありませんから、断然ポーランドの方が多いということになります。 こういった教区は行政区分とは全く関係なく存在します。例えばルブリン管区はルブリン、シェドゥルツェ、サンドミェシュと3つの司教区がありますが、これらはそれぞれルブリン県、マゾフシェ県、ポド・カルパチェ県に属しています。 カソリック教会ではそれぞれの国の総括本部のような機関はなく14の管区は平等です。とはいえ、神父の数が最も多いのはやはりクラクフ司教区で、教会の数も聖職者の数も群を抜いています。 また、これら司教区以外に軍人やその家族のための教区があり、ポーランド全土及び軍の派遣先での活動を行っています。軍人のための教区なので地域が限定されず全国、そして海外にまで及びますが、この教区のシンボルとなる大聖堂(カテドラ)はワルシャワの蜂起記念碑の前にあります。ちなみにこの教区は陸軍、空軍、海兵隊などの8つの小教区で構成されていて、聖職者であっても、軍の階級を持っているそうです。 それともう1つ、、1989年よりオプス・デイの特別教区があります。オプスデイの正確な説明はできませんが、世俗的な環境の中で信仰を行っていく国際的な活動団体という理解で良いでしょうか。一部、映画などで歪曲されて紹介されたり、カルト的集団と誤解されているところもありますが、ヴァチカンが認可している正式なキリスト教の組織です。そしてその認可を公式に行ったのがヨハネ・パウロ2世でした。 関連記事 / Related posts: 世界から見たポーランド(産業編) ポーランドの行政区分 ポーランドの世界No.1 ポーランド人の血液型
チェンストホーヴァ (Częstochowa) は、ヤスナ・グラ (Jasna Góra) という僧院と黒のマドンナ(Czarna Madonna – チャルナ・マドンナ)で有名な町だ。普段からポーランドだけでなく世界中からの巡礼者が絶えなく、外国語もあちこちで聞こえる。8月15日の聖母被昇天の日には日本の御遍路さんのように、ポーランド各地からヤスナグラを目指して歩いてやってくる人で溢れかえっている。ところで黒のマドンナは、1655年にス […]
7月27日、ローマ法王フランシスコがクラクフで開かれている「世界青年の日(ワールド・ユース・デー)に参加するためにクラクフを訪問しました。現法王がポーランドを訪問するのは初めてのことです。 クラクフ・バリツェ空港でポーランド共和国大統領夫妻の歓待を受けた法王はその後ヴァヴェル城で公式の演説を行い、その後アンジェイ・ドゥダ大統領と会談を行いました。会談後はヴァヴェル城内の大聖堂でポーランドの司教 […]
ヨハネ・パウロ2世(ポーランド語ではヤン・パヴェウ・ドゥルギィ – Jan Paweł II)はポーランド出身の第264代ローマ教皇です。(在位:1978年10月16日‐2005年4月2日) 史上初のスラヴ人教皇であるヨハネ・パウロ2世(本名カロル・ユゼフ・ヴォイティワ‐ Karol Józef Wojtyła)は、1920年5月18日、ポーランドのヴァドヴィツェ(Wadowice)で父カロル・母エミリアの次男として生まれました。8歳のとき母を、11歳のとき兄 […]
イースターは日本ではあまり馴染みがない日ですが、ヨーロッパの人たちは、イースターになって春が来るという感じで待ち望んでいます。イースターの数週間前から、街のお店はうさぎやたまご、ひよこの飾り付けがされて、チョコレートもたくさん売られています。ポーランド食器もたまごのオーナメントがありました。またお花屋さんにはパルマと呼ばれる羽のような飾りがたくさん売っています。息子が通う幼稚園で行われたイ […]
ブラジルではイースター前の土曜日~火曜日の4日間に行われるリオのカーニヴァルが有名 水曜は灰の水曜 水曜からWielki post大斎 この期間を四旬節という イースター前には脂の木曜などなど Ostatki popielec 本記事:大斎(だいさい、ラテン語:jejunium)は、カトリック教会における大斎を扱う(「大斎」は教派ごとに、漢字の読みと内容が異なっている)。 イエス・キリストの受難に心をはせるために行う食事制限のこと […]
歴史上初のポーランド人教皇でありポーランド国民の誇りである第264代ローマ教皇ヨハネ・パウロ2世(1920-2005)と、第261代ローマ教皇ヨハネ23世の列聖式が、今月27日日曜日にバチカンで行われます。 この2人のローマ教皇の列聖式には世界中から数百万人がバチカンを訪れると予想されており、またヨハネ・パウロ2世の母国であるポーランドからも数十万人が列聖の瞬間に立ち会おうとバチカン入りすると言われています […]
ポーランドにある「世界一」をいくつかご紹介します。 世界一大きいキリスト像 ルブスキ県のシフィエボジンという町に2010年に建てられた、高さ36メートル、重さ400トンのキリスト像。それまでに世界最大だったリオ・デ・ジャネイロのキリスト像よりも4メートル高い。 世界一大きなピアノ ポモルスキ県のシンバルクという町で、2010年にポーランドの作曲家であるフレデリック・ショパンの生誕200周年を記念し […]
ワルシャワの中心部、にぎやかなマルシャウコフスカ通りを曲がって少し歩いていくと、「Okno Życia(いのちの窓)」と書かれた小さな窓があります。 これは福祉・慈善活動行っているカリタス・ポーランドによるもので、2006年3月にクラクフで始められました。生まれてきた子供をを育てることのできない親が、思いあまってその子を捨てたり殺害したりしなくても済むよう、匿名で赤ちゃんを安全に置いて行ける場所です […]
8月15日は聖母の被昇天の祝日と呼ばれる日です。 15 sierpnia obchodzone jest w Polsce święto Wniebowzięcia Najświętszej Maryi Panny. 聖母の被昇天の祝日とは、「無原罪の聖母が地上の生涯の終わりにからだも魂もろとも天にあげられた」と1950年に 教皇ピオ12世によって定義されたように、マリアが栄光につつまれて天国へ上げられたことを祝う日のことです。 Święto Wniebowzięcia NMP zostało ustanowione przez papi […]
毎年約40万人が教会から離れている。2005年4月のローマ法王死去前後に各教会は信者で溢れかえったが、それは一時的な現象に過ぎなかったことがこの度明らかになった。 「数字は嘘をつかない」とヴィトルド・ズダニェヴィッチ神父は語る。氏はカトリック教会統計研究所所長であり、教会に関する統計を見せながら、ここ25年間にわたり、毎週日曜日のミサへの信者の出席率がどのように変わってきたのかを説明する。 […]
8日に迎えるイースターに向け、今町のあちこちでイースター・エッグやイースター・バニーなど様々なイースターに関係するものが見られる。学校などもイースター休みに入り、学生達も帰省を始めた。 ポーランドでは復活祭の翌、月曜日の朝、男の子が女の子に水をかける風習がある。しかし、これについて、ただの風習と考えてはいけない。実際に月曜日の朝、水鉄砲どころか水いっぱいのバケツを持った少年が通りかか […]
ポーランドの出身のローマ法王、ヨハネ・パウロ2世は2005年4月2日21時37分(日本時間:3日午前4時37分)、敗血性ショックの為に逝去した。法王の最後の言葉は「アーメン」だったと報道されている。享年84だった。 全ポーランドの教会及び法王ゆかりの地では、ヨハネ・パウロ2世の回復を祈るミサなどが行われ、テレビ、ラジオ、インターネットでは法王の安否を伝える情報一色に染まった。特に4月1日(金)の夜以降 […]