ワルシャワ中心部ど真ん中にある、先のとがった大きい建物。この街に来た人は必ず一度は目にするこの建物の名前は、文化科学宮殿(Pałac Kurtury i Nauki – パワツ・クルトゥリ・イ・ナウキ – PKiNと略されることも多い)と言います。高さ237メートル(44階建て)、総床面積12万3000平方メートル、総室数は3288。ポーランド一の高さを誇るこの建物は、すぐそばに来て下から見上げてみると、そのあまりの巨大さに圧倒されてしまいます。
文化科学宮殿は、ユシフ・スターリンからの“ポーランドへの贈り物”として、1952年より3年の歳月をかけて作られました(そのため1956年まではPałac Kultury i Nauki im. Józefa Stalina – ユシフ・スターリン記念文化科学宮殿 – という名称でした)。宮殿の設計を担当したロシアの建築家レフ・ルドネフは、宮殿の外観にポーランドの建築様式を取り入れることを思いつき、そのインスピレーションを得るためにクラクフ・カジミエジュ・ヘウムノ・プウォツク・サンドミエジュ・ザモシチ・トルンなどの街を回ったということです。この建築工事のためにロシアより約3500人の労働者がワルシャワへ呼び寄せられ、彼らが住むための団地も建設されました。そこには映画館やプール・集会所・食堂なども完備されていたそうです。この工事中に事故によって亡くなったのは16人で、彼らの遺体はヴォラ区にあるロシア正教墓地に埋葬されたのだそうです。
1956年、30階にある展望テラスからフランス人の男性が投身自殺を図りました。その後も投身自殺が相次いだため、1970年代になると展望テラスには金網が張られるようになりました。
2000年の大晦日には、ヨーロッパで2番目に大きい時計が塔の先端に取り付けられました。現在文化宮殿内にはオフィススペースの他にも映画館や劇場・コンサートホール・カフェレストラン・博物館などがあります。最近では夜、さまざまな色にライトアップされることも多くなりました。ポーランド国旗の色である白と赤のライトアップだったりバレンタインにはハートだったりと我々の目を楽しませてくれています。30階にある展望テラスではワルシャワ市内を一望することができます。6月1日から8月31日までの間展望テラスは金曜日と土曜日に限り23:30まで営業しているので、ロマンチックにワルシャワの夜景を楽しんでみてはいかがでしょうか?